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金融市場について、こんなに書いてあるの?!日本銀行-金融システムレポート

金融市場について、こんなに書いてあるの?!日本銀行-金融システムレポート

今回は、日本経済の最も土台を担っている日本銀行から公表されている金融システムレポートを読んでみようと思います。

 

普段は、経済ニュースなどはよく読むのですが、流石にこのようなレポートは授業などでしか読んだ事がありませんでした。

 

しかし、まぁゴールデンウィークという事で時間もあるし、読んでみようかなと。

日本銀行が掲載している金融システムレポート

 

金融システムレポートは、年2回公表されています。

 

目的は、

 

金融システムの安定性を評価するとともに、安定確保に向けた課題について関係者とのコミュニケーションを深める事」。

 

特にこの金融システムレポートでは

 

金融システムの潜在的脆弱性についてマクロプルーデンスの視点から分析を行う事が目的

 

マクロプルーデンスとは?

マクロプルーデンスとは、金融システム全体の安定性を確保するため、実体経済と金融資本市場、金融機関行動などの相互連関に留意しながら、金融システム全体のリスクを分析・評価し、それに基づいて制度設計・政策対応を図るという考え方

 

つまり、日本銀行の役割である「物価の安定」「金融システムの安定」を担保するために、実体経済を正確に評価・分析するよ!って事です。

 

金融システムレポートの概略と、要旨

さて、日本銀行から公表される金融システムレポートは年2回。

 

https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/index.htm/

 

今回は2018年4月に公表された金融システムレポート

2018年4月に公表された金融システムレポートの中では、特に金利と信用リスクの関係について焦点を当てています。

 

近年、先進国を中心に金余り(投資先がない事)が発生し、更に金利政策で市場にはお金がダブついてます。

そのお金が資産に向かっている訳ですが、バブルに注意しないとね!だから今回はそのリスク分析をするよ!

 

ということですね。

 

金融仲介の現状と金融循環の評価

国内貸出市場では、長短金利がともにボトム圏で推移

つまり、企業や個人はお金を借りやすい状態になっています。

 

家を買うなら今です!(たぶん)

 

国際金融市場の中でも、特に米国の市場の成長は順調です。

他国は若干鈍ってると思いますが(主観)

 

そのような中で、かつてのバブルを警戒し、国内不動産投資も慎重な動きが続いています。

また株価についても、急激に上昇していましたが2018年2月以降少し落ち着いていますね。(僕はそのせいで損してますが)

 

つまり、金融仲介は現在は至って問題なく、金融循環もある程度落ちついているということです。

 

金融システムの安定性

基本的には、日本の金融機関は安定性を維持している。

特に、資本と流動性の両面で相応の体制を備えています。

 

特に、テールイベントに対しは備えがあると。

※テールイベントとは、稀にしか起きないが、起きると非常に影響の大きい事象のこと(リーマンショックとか、通貨危機とか)

 

一方で、リスクもあります。

それは、日本が抱える少子高齢社会の問題。

これから人口が減る中で、企業も当然同じように減る事が予想されますが、それらが慢性的な需要を減少を産むストレスになる可能性はあるよね。と。

 

金融機関の信用面のリスクテイクに伴う脆弱性

金融緩和と、需要の押し下げ効果から、金融機関は「ミドルリスク企業」向けを中心に、低利による貸し出しを積極化させています。

 

※ミドルリスク企業という言葉は恐らく、日本銀行等が作った造語でしょう。

つまり、若干リスクがあり、本来なら大手企業と比べても貸出金利が高くなる企業のことでしょう。

 

ミドルリスク企業は、優良企業に比べ内部資金が少ないため、借入の金利感応度が高いため、低金利が提示されれば、優良企業以上にその借入を行う事が起こりやすいということですね。

 

大手の場合だと、内部留保があったり、自己資本で回すこともできますし、大手金融機関もほとんど金利がない状態で貸し出しを行います。(リスクがないと仮定されているから)

 

そのような中で、例えばマクロ経済環境が急激に変化した場合、最も影響を受けやすいのがミドルリスク企業になります。

 

そして、そこに対して貸出を行なっていた金融機関も相対的に影響を受ける訳ですね。そうすると、金融機関のBSに影響を及ぼすリスクがあるよね!と。

 

マクロプルーデンスの視点からみた金融機関の課題

金融機関にとって、利子率が低い場合、基礎的収益力が低下します。

また銀行の本来のシステムである、金融仲介機能が低下します。

つまり、今後は、より持続性の高い収益の確保に向けた取り組みを行う必要があり、またより収益性の高い株式・外債などへの投資を行う必要性がありますが、その際もリスクを考えておこう!とのことです。

 

金融市場から観察されるリスク

ここからは、特に金融市場(株とか、債権とかそんなやつ)の動向を見ていきます。

 

僕も株などに少額ですが投資しているので、気になります。

 

国際金融市場

国際金融市場でも、特に金融市場はボラティリティが低水準で推移してます。

 

僕が被害を被った2018年2月の株価の大幅な下落は、予想インフレ率の上昇を契機とした米国長期金利の上昇が原因でした。

しかし、それ以降も株価は安定しており、新興市場の株価も総じて落ち着いています。

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さて、米国の金利は昨年の終わりより上昇傾向にあります。

2%だったのが3%前後に触れるようになりました。これは、原油価格の上昇・時間当たり賃金の上昇・インフレ予測の変化を通したものと推測されます。(日本もインフレターゲットを2%にしているので、予想インフレ率が上がれば、CPとかも上がるんですけどね。たぶん)

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さて、このような図がありました。

僕的には、やっとリーマンショック前に近づいてきたのかな?と思うのですが、その前とか(2000年代頭)、10年国債金利6%ぐらいあった事に驚き。

 

また米国金融市場では、テールリスク指標(SKEW)は上昇傾向にあり、投資家の中ではテールリスクがある程度考えられていますが、それ以上に株価の上昇による収益性を期待した新規参入が拡大する事により、ボラティリティは低下しています。

それらが一巡したのが、2018年の2月だったようですね。

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※VIXとは、ボラティリティ・インデックスのことで、日本語では、「恐怖指数」と言われています。

 

また、米国のイールド・スプレッドは、過去平均を下回るようになり、株式投資の魅力は低下傾向にあります。

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※イールド・スプレッドとは、株式投資のリスクプレミアムと企業利益の予想成長率に左右される。

 

国内金融市場

全体として、2月に株価が大きく下落しましたが、以前より続く日本銀行が実行している長短金利操作付き量的・質的金融緩和を続けている結果、短期金利長期金利はともに安定的に推移しており、社債の信用スプレッドも低い水準で推移しています。

※信用スプレッドとは、クレジットスプレッドとも呼びます。

基本的に信用力の問題から、社債に比べて国債の方が金利は低くなります。そして、それらの金利の差分の利回りの差のことを示しています。 

 

短期金融市場

翌日物レート、ターム物レートどちらもマイナス圏で推移しています。

これが成り立つのは、日銀がマイナス金利を導入し、日銀当座預金にお金を預けるよりも翌日物レートに預けた方が、まだ取られる金利が低くなるからですね。(たぶん、ちょっと自信ない...)

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長期金利イールドカーブ

長短金利操作付き量的・質的金融緩和のもとで、長期金利は金融市場調整方針(短期政策金利: -0.1%、10年国債金利: 0%程度)と整合的な形になっており、金融政策はうまくいってるようです。

 

イールドカーブとは、横軸に債券の残存年数(残存期間)、縦軸に最終利回りをとった座標に、各債券の残存年数と最終利回りに対応する点をつないだ曲線のことです。

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為替相場と株式・クレジット市場

金融市場においては、米国の長期金利の上昇から日米金利差は拡大していますが、株価下落時に、いまだに日本・円は安全資産として選考される傾向があるため、円高方向に進んでいます。

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2016年の後半に、一時的に120円を超えたのは、FRB(米国の連邦準備制度理事会)が9年ぶりに利上げを実施されたからです。

つまり、その時点でFRBは金融緩和から金融引き締めに舵を切ったのですね。

また、リスク・リバーサルからも分かる通り、円高リスクが警戒されていることで、日本株は世界の株に比べて下がりやすい傾向にあります。

 

一方で、世界経済は緩やかな成長見通しが維持されており、足元の円高が日本企業収益を大きく下押しすることはないと見られています。

また、社債スプレッドは引き続き低水準で安定的に推移していますので、問題ないと。

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金融仲介活動からはちょっとスキップ

金融仲介活動からは長いので、ちょっと興味のあるところだけ抽出。

 

国内貸出

ちょっと気になった点があって、2011年に大手銀行の国内貸出が前年比で最も減っているのに対して、そこから地域銀行の貸出が徐々に増えていること。

直近では、地域銀行の貸出が国内貸出の8割以上を占めていることは、びっくり。

なんでだろう?

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借入主体が大企業から、中小企業に変化しているのも気になりますね。

 

地域銀行の中小企業向け業種別貸出の寄与度分解された表がこちら。

 

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大きく不動産が牽引してますね。

観光立国化の流れを受けて、各企業がそれぞれの地域、特に都市にたくさんホテルなどを作ってることも関連してるのですかね?17年以降ピークを過ぎてるのは、オリンピックに向けた不動産投資が一巡した可能性もありますよね(推測)

 

次に、金融機関の住宅ローン残高と、金融機関のカードローン残高を見ると、こちらも大手行の残高はかなり減っています。

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大手行は採算性の関係から、残高がかなり減ってきている感じですね。

特に個人への投資は採算性が悪いため、減っている感じでしょうか。

 

一方で、地域銀行はより地域密着型の企業等に積極的に投資を行っています。

本店所在地の近隣圏への貸出に注力しています。ローカルニーズを捉えてるんですね。

 

さて、地域銀行がこれまで安全性の高い大企業に融資していたのを、地域密着型企業に投資している理由が次の表からわかります。

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国内銀行の新規貸出約定平均金利が、リーマンショック以降低下しており、10年で約半分まで利子率が下がっています

つまり、国内銀行にとってはそれだけお金を融資しても、利子率が低いためコストが見合わないのです。

だからこそ、多少リスクは高くても地域の中小企業等に貸出を行うことで利益を確保する流れです。また、固定金利貸出の平均残存期間が2015年の後半から2016年の頭にかけて大手行の貸出残存期間が大きく伸びています。

 

これは2015年末から懸念されていた、新興国の景気成長スピードが鈍化するのでは?
またEUが追加金融緩和をするのではないかなどいろいろと世界経済に不安材料があったのも関係してるのですかね。大手行の場合、海外に特に最近では投資していたので。

 

海外貸出

日本の海外貸出は、増加傾向にあります。

リーマンショック以降、海外銀行がこれまで融資を行っていたところから手を引きました。その隙間を埋めたのが日本の銀行でした。

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特に、アメリカに対しての貸出は増加しています。

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またこのグラフも興味深いのですが、全て一貫性があります。

金融機関の投資信託残高は2013年以降急拡大しています。

これは、日本銀行の現在の総裁が就任直後に開始した黒田バズーカの影響が大きいでしょう。

 

※黒田バズーカとは、2年間で市場に140兆円程度を流す金融緩和のことです。(当時)

これまで、FRBを中心に行われてきた金融緩和はGDPの5%程度に収まっていましたが、黒田バズーカの場合はGDPの20%程度まで占めることになります。

今までの4倍なので異次元緩和と言われたんですね。

 

一方で、金融機関の株式残高は減少傾向にあります。

これは、日本企業が戦後お互いに株式を持ち合うことで、急激な株価変動を抑えることなどを目的とした、株式持ち合いが1990年代以降、グローバル経済の流れを受けて解消する方向性も関係しているのではないかと推測できます。

 

家計の金融資産運用動向

昨今、アベノミクスの影響で株価は上昇し、仮想通貨なども登場したため金融資産への投資が徐々に増えてるのでは?

と思う方もいらっしゃるのでは。

 

しかし、日本はもともと預金大国であり(海外の家計と比べた資産の運用の仕方が全く異なる)、家計金融資産構成比から見ると、米国の場合は現金・預金比率が全体の13.7%なのに対して、日本は51.9%と驚異的な高さになっています。

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これは戦後に小学校の時から、預金が良いと教育された影響とも言われています。
まぁ、その預金のおかげで銀行は企業に融資を行い、高度経済成長とかあった訳ですが。

 

では、昨今の預金事情はどうなっているかというと。

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預金金利は、グラフからは0%にしか見えないぐらい、超低預金金利ですが、個人預金は毎年2%程度増えています。

 

預金金利などは関係なく、やはり日本人は預金をする事が美徳のような形となっています。

金融循環

次の図は、非常に視覚的に金融環境を客観的に見る事ができる。

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金融循環上の赤色は過熱感を、青色は停滞感を表している。

1989年以降バブル時代は、ほぼ全ての金融資産が加熱していた状態にあるのがわかる。

またリーマンショック前には、日本でも不動産投資が過熱していたのがわかる。

一方で、それ以降失われた20年は青色の停滞がほぼ全ての商品に広がっている。現在は全て正常であり、経済環境が極めて良好な事がうかがえる。

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気になる株価ですが、TOPIX(東証株価指数)とEPS(1株あたり利益)の推移ですが、2010年以降EPSがTOPIXを上回っている事からまだまだ株価の方が割安感があると言えます。

 

金融システムレポートからわかった事

 さて、ここまで金融システムレポートの特に気になる部分を余談を踏まえながら説明してきました。

特に、金融資産をどのように運用するかの国別の割合の違いは、国民の資産変化に大きく関わってきます。

 

投資の神様と言われているウォーレンバフェットや、あらゆる経済学者なども言っていますが、長期的に見て最も収益性の高いのは株です。

そして、現在は世界的にも経済が安定的に成長しており参入するにはかなり良いタイミングではないかなと思います。

 

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大手行の預金金利が、0.001%なのを考えると笑

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まとめ:金融システムレポートはマクロ・ミクロの視点から現在の経済を客観的に表していて面白い!

かなり長くまとめてきました。

しかし、非常に金融システムレポート自体読みやすく、また日本銀行が公表しているものなので、信頼感もあります。

 

是非機会があれば、皆さんも読んで見てください。

 

(参考)

金融システムレポート : 日本銀行 Bank of Japan